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びんぼうな人たちのところでは、ふしぎなことがおこりました。
病気で仕事ができなくて、お金がないので、ものもたべられず、どうしていいかわからないでいる男が、ぼんやり外にたっていますと、そまつななりをした少年が、これでうまいものをおあがりなさいといって、金貨を一つくれます。男はあっけにとられてるうちに、少年はもうどこかへいってしまいます。
靴をもたない子供が、はだしで使いにいきますと、そまつななりをした少年が、これで靴をおかいなさいといって、金貨を一つくれます。
窓のガラスがこわれたまま、それをあらたにかうことができなくて、紙をはってるところがありますと、夜おそく、おもたいものがなげつけられます。紙がやぶけて、金貨がばらばらと部屋のなかにふってきます。
それからある朝、まだくらいうちに、戸をどんどんたたく者があります。一けん一けん戸をたたいていきます。どのうちでも眼をさまします。なにごとかと思って、おもてにでてみますと、そこに、たくさんの金貨がふりまかれています。みんながとびだしてきて、その金貨をひろいます。
どのうちにも、金貨がたまっていきました。みんな元気になりました。
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