色に光るその葦笛をながめました。そしてまた口にあてました。ふきならしました。なんという美しい音でしょう。小鳥のさえずりにもまけません。
 エキモスは笛をうちふりながら、野原のなかをかけまわりました。それから森のはずれの木かげにねころびました。そしていろんな歌をむちゅうになってふきつづけました。
 するうちに、ふと、気がつくと、羊たちがいつのまにかあつまってきていました。木の上には、多くの小鳥がじっととまっていました。エキモスはほほえみました。羊や小鳥があつまってきて、自分の笛をきいていてくれることが、とてもうれしかったのです。
 ところが、羊と小鳥だけならよいが……。エキモスはびっくりしてとび上がりました。森の中に、どこから出てきたのか、猿《さる》や、狼《おおかみ》や、狐《きつね》や、野兎《のうさぎ》や、鹿《しか》や、獅子《しし》や、鷹《たか》や、鷲《わし》など、いろんな鳥や獣《けだもの》が、あちらこちらにうずくまっているのです。
 エキモスはどうしていいかわかりませんでした。ことに狼や獅子にはびっくりしました。羊や自分も食われてしまうかもしれません。彼はもう笛のこともわすれて、あとずさりしながら、羊のむれのなかににげこみました。がそのおそろしい獣たちは、じっとうずくまったまま、おっかけてはきませんでした。やさしい眼をして見おくっているだけでした。
 エキモスは鈴をならして、羊のむれをつれて小屋へかえっていきました。
 翌日、エキモスはまた羊のむれをつれて、野原にでました。おそろしい鳥や獣はいませんでした。エキモスは安心して、羊たちを野原のなかにちらばして、自分は木かげにやすんで、白い葦笛《あしぶえ》をふきはじめました。とても自分がふいているのだとはおもわれないほど美しい音《ね》でした。天からひびいてくるような歌でした。
 そのうちに、笛の音をききつけて、羊たちは近くにあつまってきました。小鳥たちもとんできました。みんなだまってきいています。それからなお、森のおくの方から、いろんな鳥や獣《けだもの》がでてきました。狼《おおかみ》や獅子《しし》のようなおそろしいのもでてきました。がエキモスはさほどおどろきませんでした。ただ笛をききにでてきたのだということが、そのようすでよくわかりました。
 獣のうちに、五六ぴきの鹿《しか》がいました。大きな角《つの》の頭をかしげて、笛
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