の首領《かしら》は、玄王《げんおう》のふいを襲って、その城をのっとりましたが、負傷した玄王を人質《ひとじち》にとって、金銀廟の中におしこめ、自分は玄王に仕えてる者だ、と、勝手にいって、ふきんの土地を治め、やがてはその王になるつもりでした。けれど、玄王の部下たちがあちらこちらにいて、なかなか思うようになりませんでした。
しじゅう戦いがおこりました。けれど玄王《げんおう》の部下達も、玄王が人質《ひとじち》になっているので、思いきって攻め寄せることもできませんでした。
そのことを知っていますので、匪賊《ひぞく》達も、玄王をそまつにはあつかいませんでした。玄王のきずはなおりました、けれども、次には病気で寝つきました。それでも匪賊のうちには、だんだん玄王になついてくるものが出てきました。金銀廟《きんぎんびょう》で玄王の側についてる者たちは、今ではもう玄王の味方でした。
そこへ、チヨ子が来たのです。玄王は力がつきました。そのうえ、どんな病気にもきくという薬を、太郎がすぐに飲ませておきました。まもなくじょうぶになるに違いありません。
キシさんは、おどりあがって喜びました。
朝早く、キシさん
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