で云い張って……そしてあんなに喜んでたじゃないか。」
「そりゃあ今でも嬉しいには嬉しいが、でも何だか不安な……いや、不安だと云えば人生そのものが不安なんだ。」
 その調子に、私はいつか感じたように、また冷りとしたものを胸に受けた。人生が不安なんじゃない、長谷部そのものが不安だった。
「どうだい、久しぶりで碁でもやろうか。」
 彼はもう眼をぎらぎら光らしていた。



底本:「豊島与志雄著作集 第二巻(小説2[#「2」はローマ数字、1−13−22])」未来社
   1965(昭和40)年12月15日第1刷発行
初出:「新潮」
   1925(大正14)年7月
入力:tatsuki
校正:門田裕志、小林繁雄
2007年11月27日作成
青空文庫作成ファイル:
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