、おのれの夢想にたいする揺《ゆる》がない絶対の信頼などをもつことを、子供たちのために喜んでいた。彼らと地位を代わることは、望みもしなかったしまたできもしなかった。けれども彼は、グラチアの憂鬱《ゆううつ》とオリヴィエの不安とは子供たちのうちに慰安を見出してるだろうと考え、これでよいのだと考えていた。
――私や私の友人たちや、もっと以前に生きてた多くの人たちなど、われわれが、皆で苦しんできたところのものはすべて、この二人の子供を喜びに到達させんがためにであった……。この喜び、アントアネットよ、汝《なんじ》こそはそれにふさわしかったが、それを受けることができなかった!……ああ不幸な人々が、犠牲にしたおのれの生活から他日出てくるその幸福を、前もって味わうことができるならば!
どうして彼はその幸福に異議をもち出し得よう? 人は他人が自分と同じ流儀で幸福ならんことを望んではいけない。彼ら自身の流儀で幸福ならんことを望まなければいけない。クリストフはジョルジュとオーロラとに向かって、自分のように彼らと同じ信仰を分かちもっていない人々をあまりに軽蔑《けいべつ》してはいけないと、ただそれだけを穏やかに求めたばかりだった。
二人は彼と議論するの労をもとらなかった。二人はこう思ってるようなふうだった。
「この人にわかるものか……。」
彼らにとっては彼はすでに過去のものだった。そして彼らは過去を大して重要視してはいなかった。あとになってクリストフが「もういなくなった」ときにはどうしようかと、そんなことをなんの気もなしに内緒で話し合うことさえあった。――それでも彼らは彼を深く愛していた……。人の周囲に葛《かずら》のように伸び出してるひどい子供たち! 人を押しやり追い払ってるその自然の力!……
――立ち去れ、立ち去ってしまえ! そこを退《ど》け! 俺《おれ》の番だ!……
クリストフは彼らの無言の言葉を聞きとって、こう言ってやりたかった。
――そんなに急ぐものではない! 私はここでいい気持だ。まだ私を生きてる者としてながめてくれたまえ。
彼は二人の無邪気な横柄さを興深く思った。
「すぐに言ってごらん、」と彼はある日二人の軽蔑《けいべつ》的な様子にまいらされながら温良そうに言った、「すぐに私に言ってごらん、老いぼれた馬鹿者だと。」
「いいえ、そんなこと。」とオーロラは心から笑いなが
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