、そして肉体的な快活な高慢な様子をしていた。少しも理知的ではなく、至って感傷的ではなくて、母親から呑気《のんき》な怠惰を受け継いでいた。引きつづいて十一時間もぐっすり眠った。その他の時間はまだよく眼覚《めざ》めないようなふうで笑いながらぶらついていた。クリストフは彼女をドルンロースヘン――眠りの森の姫――と名づけていた。あのかわいいザビーネを思い起こさせられた。彼女は寝ても歌っており、起きても歌っており、理由もないのに笑っては、しゃくりのように笑いをのみ下しながら、子供らしい愉快な笑い方をした。日々をどうして過ごしているかわからないほどだった。コレットは、若い娘の精神に漆のようにすぐにくっつく人造光沢で、しきりに彼女を飾りたてようとつとめたが、すべて徒労に帰してしまった。漆が少しもつかなかった。彼女は何にも覚えなかった。ごく面白いと自分で思う書物を一冊読むにも、数か月かかって、しかも一週間もたてば、その本の名も内容も忘れてしまった。平気で綴《つづ》り字の間違いをしたり、高尚なことを話しながら滑稽《こっけい》な誤りをしたりした。そして彼女は、若さによって、快活さによって、知力の乏しさによって、あるいは欠点によって、時とすると冷淡に近い不注意によって、無邪気な利己主義によって、人の心をさわやかならしめた。いつも自然のままだった。そして単純な怠惰な彼女も、時によると、別に悪気なしに嬌態《きょうたい》を作ることを知っていた。そういうとき彼女は、青年たちに釣《つり》針を投げ、野外写生に出かけ、ショパンの夜想曲をひき、読みもしない詩集をもち歩き、理想主義めいた話をし、同じく理想主義めいた帽子をかぶったりした。
 クリストフはひそかに彼女を観察しながら笑っていた。彼は彼女にたいして、寛大な揶揄《やゆ》的な父親めいた情愛をいだいていた。そしてまた、昔自分が愛していた女であって、しかも彼の愛ではなく他の愛のために新しい若さをもってふたたび現われてきた女、その女にたいする内心の敬愛をもいだいていた。だれも彼の情愛の深さを知ってるものはなかった。ただオーロラ自身だけが薄々気づいていた。彼女は幼いときから、たいていいつも自分のそばにクリストフを見てきた。彼を家族の一人ででもあるように見なしていた。昔母から弟ほどかわいがられなくて苦しんでるうちに、知らず知らずクリストフへ接近した。彼女は彼の
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