の熱しきった熔炉《ようろ》の中に、否定する力と肯定する力とを、敵と味方とを、人生のあらゆる金属を、嬉々《きき》として投げ入れなければいけない。そしてすべての帰着は、われわれの内部に作り出さるる立像にある、精神の崇高な果実にある。その果実をますます美《うる》わしからしむるものは、たといわれわれを犠牲となしてそうするものも、みな善《よ》きものと言うべきである。創造する主体が何になるものぞ。ただ創造さるるもののみが現実である……。われわれを害せんとしてる敵よ、諸君の攻撃もわれわれには達しないであろう。われわれは諸君の打撃を超越しているのだ……。諸君は中身のない外皮に噛《か》みついている。しかし予は久しい前にそれから抜け出しているのだ。
彼の音楽上の製作は晴朗な形をとっていた。それはもはや、以前にしばしば寄り集まり破裂し消え失《う》せたあの春の夕立雲ではなかった。それは真夏の白雲であり、雪と黄金との山であり、徐々に飛翔《ひしょう》して空を満たしてる光の大鳥であった……。創造よ。八月の静かな日光に熟してゆく作物よ……。
初めはまず、漠然《ばくぜん》たる力強い無我の境。鈴なりの葡萄《ぶどう》の房《ふさ》の、ふくれ上がった麦の穂の、熟した果実を孕《はら》んでる妊婦の、朧《おぼ》ろなる喜び。大オルガンのとどろき。底のほうで、蜜蜂《みつばち》が歌ってる蜜房……。秋の柔らかい光のようなその薄暗い金色の音楽から、音楽を導く節奏《リズム》がしだいに浮き上がってくる。遊星のロンドが姿を現わす。それが回転する……。
すると、意志が現われる。意志は、嘶《いなな》きつつ通りかかる夢想の臀《しり》に飛び乗って、それを両|膝《ひざ》でしめつける。精神は、おのれを引き込む節奏《リズム》の規則を認める。そして不規則なもろもろの力を統御して、それに一定の道を定めてやり、またおのれの行くべき目標を定める。理性と本能との交響曲が組織される。影は明るくなる。展開してゆく長い一筋の道の上に、一行程ごとに輝ける光点が印せられる。そしてその光点自身は、創造される作品のうちにおいては、太陽系の囲郭につながれたる小さな遊星の世界の、中核となるであろう……。
画面の重《おも》なる線はここに至って決定する。そして今や全体の顔貌《がんぼう》が模糊《もこ》たる曙《あけぼの》から浮き出す。すべてが明確になる、色彩の調和も形
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