い起こしてみたまえ。かつて人が自分になしてくれた幸福と善とを他人に――たとい一人にでも――なしてやるのは、いいことではないか。」
「あなたはそういう人がほんとに一人でもいると思っていて? 私はもう疑わないではおれなくなったのよ……。それに、私たちを愛してくれる者のうちでいちばんよい人たちでさえ、どういうふうに私たちを愛してくれてるでしょうか。どういうふうに私たちを見てくれてるでしょうか。いけない見方をしてはしないでしょうか。人を辱《はずかし》めるような賞賛の仕方をしてるわ。どんな大根役者が演ずるのを見ても、やはり同じようにうれしがってるわ。軽蔑《けいべつ》すべき馬鹿者と同様に私たちを取り扱ってるわ。あの連中の眼には、成功しさえすればだれでも同じものに見えるのよ。」
「それでも、皆のうちでもっとも偉大な人々こそ、もっとも偉大な人として、後世に残るものだ。」
「それは距離のせいよ。山は遠くなるほどなお高く見えるものよ。そういう人たちの偉さはよくわかるけれど、それだけ遠く離れてるわけだわ……。それにまた、彼らこそもっとも偉い人たちだとだれが言えるでしょう? その他のもう死んでしまってる人たち
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