。そしてもう他のことを考えてるでしょう……。あなただって、他の芸術家たちを理解していて? がとにかく、あなたは理解されてやしないことよ。あなたがいちばん愛してる人たちでさえ、どれほどあなたから遠く離れてることでしょう! あなたはトルストイのことを覚えていて?……」
クリストフはトルストイに手紙を書いたことがあった。トルストイの書物に感激したのだった。その民衆のための物語の一つを音楽に移したいと思って許可を求め、自分の歌曲集[#「歌曲集」に傍点]を送ってやった。ゲーテはシューベルトやベルリオーズからその傑作を送られても返事を出さなかったが、トルストイも同様、クリストフへ返事をくれなかった。彼はクリストフの音楽を演奏さしてみた。そして癪《しゃく》にさわった。何にもわからなかった。彼はベートーヴェンを敗徳漢だとしシェイクスピヤを香具師《やし》だとしていて、その代わりに、気取ったつまらない作家を喜び、丁髷《ちょんまげ》王を感心させるクラヴサンの音楽などを喜んでいたのだ。そして小間使の告白[#「小間使の告白」に傍点]をキリスト教的な書物だと思っていたのだ……。
「偉大な人々はわれわれを必要とし
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