。
「ごらんなさいな、」と彼女は言った、「死ぬところじゃありませんか。」
「死んだって構うものですか。」と彼は言った。彼はもう彼女と話したくなかった。
「馬鹿な奴らばかりだ。」と彼は言った。「たがいに苦しめ合ったり苦しんだりしてる。他人《ひと》を助けようとすれば疑《うたぐ》られる。厭《いや》になっちまう。どいつも皆人間じゃない。」
彼女は笑いながら、彼をなだめようとつとめた。手袋をつけてる片手を彼の手にのせた。彼の名前を呼びかけてやさしく口をきいた。
「ほう、あなたは僕を知ってるんですか。」と彼は言った。
「パリーでは人はみんな知り合いではありませんか! あなただって同じ船の乗合ですわ。でも先刻《さっき》のように申したのは私が悪うこざんしたわ。あなたはいい方です、よくわかっています。さあ気を和らげてください。もうよござんすよ。仲直りをしましょう。」
二人は握手をかわした。そして親しく話をした。彼女は言った。
「でも私のせいじゃありませんよ。世間の人からいろんな目に会わされたので、そのために疑《うたぐ》り深くなったのです。」
「僕もたびたび騙《だま》されたんです。」とクリストフは言っ
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