歳に達しております。そして先ごろから私のミューズの神は、霊感のさなかに幾度となく、私の耳へささやいてくだされました。「あえてせよ、あえてせよ! 汝《なんじ》の魂の和声《ハーモニー》を書けよ!」――私は考えました。「六歳で、どうして私はあえてなされよう! 芸術の識者たちになんと言われるであろう?」――私はためらいました。私は震えました。けれども私のミューズの神は望んでいられます。……私は従いました。私は書きました。
そして今私は、
いと崇高《けだか》き殿下よ!
玉座の階段《きざはし》におこがましくも、私の幼い仕事の処女作を、ささげたいのでありまする。畏《かしこ》き御推賛の情け深き御瞳《おひとみ》を、この処女作の上にくだしたまわらんことを、厚かましくも希《こいねが》いたいのでありまする。
それと申しまするのも、学問と芸術は常に、賢明なるメセーナとして、寛大なる擁護者として、殿下を御仰ぎ奉ったのでありますから。そして才能は、聖《きよ》き御保護の楯《たて》の下に、花を咲かせるのでありまするから。
右の深く確かな信念をいだいておりまする私は、この幼き試作をささげましてあえてお側《そば》へ進みまする。なにとぞ私の尊敬の念の清い捧物《ささげもの》としてお受けくださりませ。そしてお恵みをもちまして、
いと崇高《けだか》き殿下よ!
この作品の上に御眼を垂れたまい、また恭《うやうや》しく御足下に伏し奉る幼き作者の上に、御眼を垂れてくださりませ!
いと畏きいと崇高き殿下の
全き謙譲忠実柔順なる僕《しもべ》、
[#ここで字下げ終わり]
[#地から2字上げ]ジャン・クリストフ・クラフト
クリストフの耳には何にもはいらなかった。彼はなし終えたので夢中に喜んでいた。そしてまた書き直させられはすまいかと恐れて、野の中へ逃げ出した。何を書いたのか少しもわからなかったし、またちっとも気にしてはいなかった。しかし老人は、読み終った後、なおよく玩味《がんみ》するためにも一度読み直した。それが済むと、メルキオルも老人もともに、まったくりっぱな出来だと断言した。楽譜の写本といっしょにその手紙をささげられた大公爵も、同じ意見であった。彼は両方ともみごとな技功だと言ってくれた。彼は音楽会を許可し、音楽院の広間をメルキオルの勝手に使用させるよう命じ、またみずから演奏に臨む日には
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