夜になった。彼は非常な努力をして、テーブルと古い肱掛《ひじか》け椅子《いす》とを暖炉のそばに引き寄せ、テーブルの上にペンとインキと紙とをのせた。
 それがすんで、彼は気を失った。意識を恢復すると、喉《のど》がかわいていた。水差しを持ち上げることができないので、それをようやく口の方へ傾けて、一口飲んだ。
 それから彼は寝床の方を振り向き、立っておれないのでやはりすわったまま、小さな黒い長衣とその他の大事な品々とをながめた。
 そういう観照は、数分間と思ってるうちにはや幾時間にもなるものである。突然彼は身震いをし、寒気《さむけ》に襲わるるのを感じた。彼は司教の燭台《しょくだい》にともってる蝋燭《ろうそく》に照らされたテーブルに肱《ひじ》をかけて、ペンを取り上げた。
 ペンもインキも長く使わないままだったので、ペンの先は曲がり、インキはかわいていた。彼は立ちあがって数滴の水をインキの中に注がなければならなかった。それだけのことをするにも二、三回休んで腰をおろした。それにまたペンは背の方でしか字が書けなかった。彼はときどき額を拭《ふ》いた。
 彼の手は震えていた。彼はゆっくりと次のような数
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