何となく謎《なぞ》のような趣があって、彼は本能からそれに気づいていたのである。謎というのは、最も忌まわしい汚辱、徒刑場だった。あのフォーシュルヴァン氏は徒刑囚ジャン・ヴァルジャンであった。
幸福の最中に突然そういう秘密を知ることは、あたかも鳩《はと》の巣の中に蠍《さそり》を見いだすがようなものだった。
マリユスとコゼットとの幸福は、今後かかるものと隣《となり》しなければならないように定められていたのか。それはもう動かし難い事実だったのか。成立した結婚の一部としてその男を受け入れなければならなかったのか。もはやいかんともする道はなかったのか。
マリユスは徒刑囚ともまた離れ難い関係となったのか。
いかに光明や喜悦の冠をいただこうとも、人生の紅の時期を、幸福な愛を、いかに味わおうとも、それを忍ぶことができようか。かかる打撃は、恍惚《こうこつ》たる大天使をも、光栄に包まれたる半神をも、必ずや戦慄《せんりつ》させるであろう。
かかる限界の激変の常として、マリユスは自ら責むべき点はないかを顧みてみた。洞察《どうさつ》の明を欠いてはいなかったか。注意の慎重さを欠いてはいなかったか。いつとな
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