Gは言った。
「だが挨拶《あいさつ》もたいていにしろよ。俺《おれ》たちの邪魔をするな。」
「狐《きつね》が出る時分だ、雛鶏《ひよっこ》の出る幕じゃねえ。」とモンパルナスは言った。
「見るとおり俺たちはここで用があるんだ。」とバベは言い添えた。
 エポニーヌはモンパルナスの手を取った。
「気をつけろよ、」と彼は言った、「けがをするぞ。どす[#「どす」に傍点]を持ってるんだ。」
「まあモンパルナス、」とエポニーヌはごく静かに答えた、「仲間の者はお互いに信用するものよ。あたしはお父さんとかの娘よ。バベさん、グールメルさん、この仕事を調べるように言いつかったのはあたしよ。」
 注意すべきことには、エポニーヌは隠語を使っていなかった。マリユスを知って以来、彼女はその恐ろしい言葉を口にすることができなくなっていたのである。
 彼女は、骸骨《がいこつ》の手のような骨立った弱々しい小さな手で、グールメルの荒々しい太い指を握りしめて、言い続けた。
「皆《みんな》も知ってるとおりあたしばかじゃないわ。いつもあたしを信じてくれるじゃないの。何度も用をしてやってるわ。ここもいろいろ調べてみると、骨折っても全くむだなことがわかったのよ。この家にはいったってどうにもならないことは、確かだわ。」
「女ばかりじゃねえか。」とグールメルは言った。
「いえ、皆引っ越したのよ。」
「でも蝋燭《ろうそく》は引っ越さねえと見えるな。」とバベは言った。
 そして彼は、母家《おもや》の屋根裏に動いてる光を、木立ち越しにエポニーヌにさしてみせた。それは洗濯物《せんだくもの》をひろげるためにトゥーサンがともしてる灯火であった。
 エポニーヌは最後の努力を試みた。
「でもね、」と彼女は言った、「ごく貧乏な人たちよ。一スーのお金もないきたない家だよ。」
「ぐずぐず言うな!」とテナルディエは叫んだ。「家を引っくり返して、窖《あなぐら》と屋根裏とをあべこべにして、中に何があるかお前に教えてやらあ、フランだかスーだか厘《りん》だか。」
 そして彼は前に出ようとして彼女を押しのけた。
「ねえモンパルナスさん、」とエポニーヌは言った、「お前さんはいい人だわね、どうかはいらないでおくれよ。」
「気をつけろったら、けがをするぞ。」とモンパルナスは答え返した。
 テナルディエは例のきっぱりした調子で言った。
「どけ、女《あま》っちょが
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