オ、喧嘩《けんか》をし、乞食《こじき》小僧のようなぼろをまとい哲人のような弊衣をつけ、下水の中をあさり、塵溜《ちりだめ》の中を狩り、汚物のうちから快活を引き出し、町の巷《ちまた》に天下の奇想をまき散らし、冷笑し風刺し、口笛を吹き歌を歌い、歓呼し罵詈《ばり》し、アレリュイアとマタンチュルリュレットと([#ここから割り注]訳者注 歓呼の賛歌とのろいの賛歌と[#ここで割り注終わり])をあわせ用い、デ・プロフォンディスからシアンリまで([#ここから割り注]訳者注 荘重な聖歌から卑しい俗歌まで[#ここで割り注終わり])あらゆる調子を口ずさみ、求めずして見いだし、知らないことをも知り、すりを働くほどに謹厳であり、賢者たるまでにばかであり、不潔なるまでに詩的であり、神々の上にうずくまり、糞便《ふんべん》の中に飛び込んで星を身につけて出て来る。実にパリーの浮浪少年は小ラブレー([#ここから割り注]訳者注 十六世紀の快活な風刺詩人[#ここで割り注終わり])である。
彼らは時計入れの内隠しがついてるズボンでなければ満足しない。
彼らはあまり驚くことがなく、恐れることはなお更少なく、迷信を軽蔑し、誇張を
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