った。「コゼットは丈夫です。じきに会えます。がまあ落ち着かなくてはいけません。あなたはあまりひどく口をきくし、それに寝床から腕を出しています。それで咳《せき》が出るんです。」
 実際、激しい咳はほとんど一語一語彼女の言葉を妨げていた。
 ファンティーヌはもう不平を言わなかった。あまり激しく訴えすぎて、皆に安心させようとしていたのがむだになりはしないかと恐れた。そして関係のない他のことを言い出した。
「モンフェルメイュは相当よい所ではございませんか。夏になるとよく人が遊びに行きます。テナルディエの家は繁盛しておりますか。あの辺は旅の客が多くありません。であの宿屋もまあ料理屋みたようなものですわね。」
 マドレーヌ氏はやはり彼女の手を取ったままで、心配して彼女の顔を見ていた。明らかに彼女に何事かを言うためにきたのであったが、いまや彼の頭はそれに躊躇《ちゅうちょ》していた。医者は診察をすまして出て行った。ただサンプリス修道女だけが彼らの傍に残った。
 そのうち、その沈黙の最中に、ファンティーヌは叫んだ。
「娘の声がする。あ、娘の声が聞こえる!」
 彼女は周囲の人たちに黙っているように腕を伸ば
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