ある。
「ああ市長様でございますか!」と彼女は叫んだ。
彼は低い声でそれに答えた。
「あのかわいそうな女はどんなあんばいです。」
「ただいまはそう悪くはございません。でも私どもは大変心配いたしました。」
彼女は経過を話した。ファンティーヌは前日非常に悪かったが、今では、市長がモンフェルメイュに子供を引き取りに行ってると思い込んでるのでずっとよくなったと。彼女はあえて市長に尋ね得なかったが、市長がそこから帰ってきたのでないことをその様子で見て取った。
「それはいい具合だ、」と彼は言った、「事実をうち明けないでおかれたのはよかった。」
「さようです。」と修道女は言った。「ですけれど今、あの女《ひと》があなたに会って子供を見なかったら、私どもは何と申してやったらよろしいでしょう。」
彼はちょっと考え込んだ。
「神様が何とか教えて下さるでしょう。」と彼は言った。
「ですけれど嘘《うそ》は言えないんですもの。」と修道女は口の中でつぶやいた。
昼の光は室の中に流れ込んでいた、そしてマドレーヌ氏の顔を正面から照らしていた。修道女はふと目を上げた。
「まあ、あなた!」と彼女は叫んだ、「どうなさ
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