関するらしい計算を小声でつぶやきながら、敷布に折り目をつけたりしていた。目はくぼみ、じっと据わって、ほとんど光もなくなってるようだった。そしてただ時々、また光を帯びてきて星のように輝いた。ある暗黒な時間の迫っている時、地の光を失った人に天の光が差して来ることがあるようである。
サンプリス修道女がその心持ちをきくごとに、彼女はきまってこう答えた。「よろしゅうございます。私はただマドレーヌ様にお目にかかりたいのですけれど。」
数カ月前、最後の貞節と最後の羞恥《しゅうち》と最後の喜びとを失った時、彼女はもう自分自身の影にすぎなくなった。そして今や彼女は自分自身の幻にすぎなかった。身体の苦しみは、心の悩みがなしかけた仕事を仕上げてしまった。二十五歳というのに、額《ひたい》にはしわがより、頬《ほほ》はこけ、小鼻はおち、歯齦《はぐき》は現われ、顔色は青ざめ、首筋は骨立ち、鎖骨《さこつ》は飛び出し、手足はやせ細り、皮膚は土色になり、金髪には灰色の毛が交じっていた。ああいかに病は老衰を早めることぞ!
正午にまた医者がきた。彼はある処方をしるし、市長が病舎にこられたかと尋ね、そして頭を振った。
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