げたなあ私だが。」
「それで?」
「旦那は何もくれないだもの。」
 だれにも少しも物をおしまなかった彼も、その請求を無法なほとんど憎むべきもののように感じた。
「ああそれはお前だった。」と彼は言った。「だがお前には何もやれないぞ!」
 彼は馬に鞭《むち》をあてて大駆けに走り去った。
 彼はエダンでだいぶ時間を失っていた。彼はそれを取り返そうと思った。小さな馬は元気に満ちて、二頭分の力で駆けていた。しかし時は二月で、雨の後でさえあったので、道は悪くなっていた。その上こんどは小馬車ではなかった。車は鈍く重く、かつ多くの坂があった。
 エダンからサン・ポルまで行くのに四時間近くかかった。五里に四時間である。
 サン・ポルに着いて彼は、見当たり次第の宿屋で馬をはずし、それを廐《うまや》に連れて行った。スコーフレールとの約束もあるので、馬に食物をやってる間|秣槽《かいおけ》のそばに立っていた。そして悲しいごたごたしたことを考えていた。
 宿屋の主婦が廐《うまや》にやってきた。
「旦那《だんな》はお食事はいかがです。」
「なるほど、」と彼は言った、「ひどく腹がすいてる。」
 彼は主婦について行った
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