)の二つを。かく彼女は考えていた。そしてまた考えのとおりに行なった。その結果、前述のごとく彼女は純白な色を呈し、その輝きは彼女の脣《くちびる》や眼をもおおうていた。その微笑も白く、その目つきも白かった。その内心の窓ガラスには一筋の蜘蛛《くも》の巣もなく一点の埃《ほこり》もかかっていなかった。聖ヴァンサン・ド・ポール派のうちに身を投ずるや、彼女は特に選んでサンプリスの名前をつけた。シシリーのサンプリスといえば人の知る有名な聖女である。聖女はシラキューズで生まれたのであって、セゲスタで生まれたと嘘《うそ》をつけば生命は助かるのであったが、嘘を答えるよりもむしろ両の乳を引きぬかれる方を好んだのである。その聖女の名前を受けることが彼女の心にかなったのだった。
サンプリス修道女は初め組合にはいった頃、二つの欠点を持っていて、美食を好み、また手紙をもらうことが好きだった。がしだいにそれを矯正《きょうせい》していった。彼女は大きい活字のラテン語の祈祷書《きとうしょ》のほかは何も読まなかった。彼女はラテン語は知らなかったが、その書物の意味はよく了解した。
この敬虔《けいけん》な婦人はファンティーヌ
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