こでそのジャン・ヴァルジャンを捕えたと思っていた私は、いかほど驚いたかお察し下さい。私は予審判事に手紙を書きました。そして私はそこに呼ばれて、私の前にそのシャンマティユーが引き出されました……」
「すると?」とマドレーヌ氏は言葉をはさんだ。
ジャヴェルは厳格なまた悲しそうな顔をして答えた。
「市長殿、事実は事実です。残念ですが、その男はジャン・ヴァルジャンです。私もそれを認めました。」
マドレーヌ氏は低い声で言った。
「確かですか。」
ジャヴェルは深い確信から出る悲しげな笑いを立てた。
「ええ確かです。」
彼はテーブルの上にあった吸墨用の箱から鋸屑《おがくず》を機械的につまみ出しながら、ちょっと考え込んだ、そしてつけ加えた。
「そして真のジャン・ヴァルジャンを見ました今では、私はどうして他の人をそうだと信ずることができたかが自分にもわかりません。市長殿、私はあなたにお許しを願います。」
六週間前、大勢の風紀兵らの面前において自分を辱《はずか》しめ、自分に「お退《さが》りなさい!」と言ったその人に向かって、今そのまじめな嘆願の言葉を発しながら、彼傲慢なるジャヴェルは、自ら知らず
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