つぐのうばかりである。彼らは何日間も男や女の後《あと》をつけてみたり、町角や木戸口に寒い雨の降る晩数時間立番をしてみたり、小僧に金を握らしたり、辻馬車屋や徒僕を煽《おだ》てたり、女中を買収したり、門番を取り入れたりする。それもなぜであるか。何の理由もない。ただ見たい知りたい探りたいがためのみである。ただ種々なことを言いふらしてみたいためのみである。そして往々にして、それらの秘密が知られ、それらの不思議が公にされ、それらの謎が白日の光に照らさるる時には、災難、決闘、失脚、家庭の没落、生涯の破滅などをきたし、それがまた、何らの利害関係もなく単なる本能から「すべてを発見した」彼らの大なる喜びとなるのである。まことに痛むべきことである。
ある人は単に噂をしたい心から悪者となることがある。彼らの会話、客間での世間話、控え室での饒舌《じょうぜつ》は、すみやかに薪《まき》を燃やしつくす炉のごときものである。彼らには多くの燃料がいる。そしてその燃料はすなわち近所の人々である。
かててファンティーヌは人から目をつけられた。
その上に、彼女の金髪と白い歯をうらやむ者も一人ならずいた。
ファンティー
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