《そこな》うために機会あるごとにできるだけのことをした。そのうちに彼は破産してしまった。そして年は取っており、もはや自分のものとしては荷車と馬とだけであり、その上家族もなく子供もなかったので、食べるために荷馬車屋となったのだった。
さて馬は両脚《りょうあし》を折ったので、もう立つことができなかった。老人は車輪の間にはさまれていた。車からの落ち方が非常に悪かったので、車全体が胸の上に押しかかるようになっていた。車にはかなり重く荷が積まれていた。フォーシュルヴァンじいさんは悲しそうなうめき声を立てていた。人々は彼を引き出そうとしてみたがだめだった。無茶なことをしたり、まずい手出しをしたり、下手《へた》に動かしたりしようものなら、ただ彼を殺すばかりだった。下から車を持ち上げるのでなければ、彼を引き出すことは不可能だった。ちょうどそのでき事の起こった時にき合わしたジャヴェルは、起重機を取りにやっていた。
マドレーヌ氏がそこにやってきた。人々は敬意を表して道を開いた。
「助けてくれ!」とフォーシュルヴァン老人は叫んだ。
「この年寄りを助けてくれる者はいないか。」
マドレーヌ氏はそこにいる人
前へ
次へ
全639ページ中376ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
豊島 与志雄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング