彼は書物を前に開いて読みながら、いつも一人で食事をした。よく精選された少しの書籍を持っていた。書物を愛していた。書物は冷ややかではあるが完全な友である。財産とともに暇ができるにつれて、彼は自分の精神を啓発するのにその時間を使ったらしかった。モントルイュ・スュール・メールにきて以来、一年一年といちじるしく彼の言葉は丁寧になり、上品になり、優しくなっていった。
 彼は散歩の時好んで小銃を持って出たが、それを使うのは稀《たま》にしかなかった。たまたまそれを使うような時には、その射撃は当たらないということがなく、人を恐れさせるほどだった。かつて彼は無害な動物を殺さなかった。またかつて彼は小鳥を撃たなかった。
 もはや若いとは言われない年齢だったが、彼は非常な大力をそなえてるということだった。必要な者には手助けをしてやって、たおれた馬を起こしてやったり、泥濘《でいねい》にはまった車を押してやったり、逃げ出した牡牛《おうし》の角をつかんで引き止めてやったりした。家を出かける時はいつもポケットに金をいっぱい入れていたが、帰って来る時にはみな無くなっていた。彼が村を通る時には、襤褸《ぼろ》を着た子供
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