第一のより更につらい別れをなさなければならないであろうと、ぼんやり感じた。胸がつまった、けれども決心を固めた。これからわかることであるが、ファンティーヌは生活の手荒い元気を持っていた。
彼女は既に勇ましくも華美をしりぞけ、自分は麻の着物を着、あらゆる絹物や飾りやリボンやレースを女の児に着せてやった。それは彼女に残っていた唯一の見栄《みえ》であって、それも聖《きよ》い見栄だった。彼女は自分のものをすべて売り払って、それで二百フランを得た。けれど細々《こまごま》した負債を払ってしまうと、八十フランばかりしか残らなかった。二十二歳で、春のある美しく晴れた朝、彼女は背中に子供を負ってパリーを出立つした。そうして子供と二人で歩いてゆくのを見た者があったら、きっと二人をあわれに思ったであろう。その女は世の中にその子供のほか何も持たなかった、そしてその子供は、世の中にその女のほか何も持たなかった。ファンティーヌはその女の児に自分で乳を与えてきた。それは彼女の胸部を疲らしていた。彼女は少し咳《せき》をしていた。
フェリックス・トロミエス君のことを語る機会はもう再びないだろう。で、ただちょっと、ここ
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