まっさつ》さしていた。勅令によってアングーレームは海軍兵学校の所在地となされていた、というのは、アングーレーム公爵は偉い海軍提督で、したがってアングーレームの町は海港たるのすべての資格をそなえていて、もしさもなくば王政の大綱は破綻《はたん》をきたしていたであろうから。内閣会議では、フランコニ曲馬団の広告のまわりに書かれて町の子供らを集めている綱渡りの芸を現わした模様の絵を、許すべきかどうかが問題となっていた。アグネーズ[#「アグネーズ」に傍点]の作者であって、頬に一つ疣《いぼ》のある四角い顔の好人物たるパエル氏は、ヴィル・レヴェーク街のサスネー侯爵夫人の催しにかかる親しい間がらだけの小さな演奏会を指導していた。若い娘たちはエドモン・ジェローの歌詞であるサン[#「サン」に傍点]・タヴェルの隠士[#「タヴェルの隠士」に傍点]を歌っていた。骨牌《カルタ》のナーン[#「ナーン」に傍点]・ジョーヌ[#「ジョーヌ」に傍点]はミロアール[#「ミロアール」に傍点]に代えられていた。ランブランの珈琲《コーヒー》店は皇帝派をもって立ち、ブールボン派をもって立っているヴァロア珈琲店と対抗していた。シシリーの
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