さで、彼の心に蘇《よみがえ》って現われてきた。彼は自分の生涯をながめた、そしてそれは彼の目に嫌悪すべきもののように映じた。彼は自分の魂をながめた、そしてそれは彼の目に恐怖すべきもののように映じた。けれども穏かな明るみがその生涯とその魂との上に射《さ》していた。天国の光明によって悪魔を見たように彼には思えた。
かくしていくばくの間彼は泣いていたか。泣いた後に彼は何をなしたか。どこへ彼は行ったか。だれもそれを少しも知らなかった。ただ一つ確かめられたことは、その同じ夜、当時グルノーブル通いをしていた馬車屋が、朝の三時頃ディーニュに着いて、司教邸のある通りを通ってゆく時に、一人の男がビヤンヴニュ司教の家の前で、祈るような姿をして闇《やみ》の中に舗石《しきいし》の上にひざまずいているのを、見かけたということである。
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第三編 一八一七年のこと
一 一八一七年
一八一七年は、ルイ十八世が幾分|矜《ほこ》らかに厳《いか》めしくも彼の治世第二十二年と称した年である。それはブリュギエール・ド・ソルソン氏が世に高名であった年である。あらゆる理髪屋の店は、髪粉の流行
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