をしたメヅサの首を首尾よく討取《うちと》ることは決して出来ない。その眼をしっかりと掴《つか》んでいるんだよ。そうすれば万事うまく行くんだから。』
 後で分ったことですが、クイックシルヴァの言ったことに間違いはありませんでした。眼ほど人間が大切にするものはちょっとありません。それに白髪婆さん達は、もともと三人で六つの眼がある筈のところ、一つしかなかったのですから、それを六つの眼に負けないくらい大切に思っていました。それを取返す方法がほかにないと知って、彼等もとうとうパーシウスに彼の知りたがっていることを教えました。彼等が教えてくれるとすぐに、パーシウスはこの上もなく慇懃《いんぎん》な態度で、その眼を彼等のうちの一人の額にある空《から》っぽの眼窩《めのあな》へはめ込んで、彼等の親切を謝し、彼等に別れを告げました。しかしパーシウスが聞えないほどの遠さまで行かないうちに、彼等はまた新しく喧嘩を始めました。何故かというと、彼等とパーシウスとの間に騒ぎが持上った時に、もう番のすんでいたスケヤクロウに、彼は何の気もなく眼玉をやってしまったからなのでした。
 どうもこの三人の白髪婆さん達は、いつもよく
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