が、それを返しておくんなさい!――どなただか知らないが、それを返して下さい!』
 その間も始終、三人の白髪婆さん達は手をのばして探りながら、一生けんめいにパーシウスをつかまえようとしました。しかし彼はつかまらないように十分気をつけました。
『立派なおばあさん方、』と彼は言いました――というのは彼のお母さんは彼に、いつも出来るだけ丁寧に口をきくようにと教えていたからです――『僕はあなた方の眼を、しっかりと手に持っています。そしてあなた方がニンフの居処を教えて下さるまで、それを大切に預かっておきましょう。僕の言っているのは、魔法の袋と、飛行靴《とびぐつ》と、それから――何だったっけ?――そう、隠兜《かくれかぶと》とを持っているニンフ達のことなんです。』
『おやまあ、姉妹達! この兄さんは何のことを言ってるんだろうねえ?』スケヤクロウとナイトメヤとシェイクヂョイントとは、如何にもびっくりしたような風に、お互に叫びました。『一足《いっそく》の飛行靴《とびぐつ》とあの人は言ったよ! もし彼がうっかりそんなものを履《は》こうものなら、彼の踵《かかと》がぽいと[#「ぽいと」に傍点]頭よりも高く飛び上
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