しちょっとことわっておくが、わたしのこの姉は、わたしとはまるで性質が違うんだ。彼女は大変真面目で、用心深く、にっこりとすることも少なく、声を立てて笑うなんてことはまるでない。そして何か特別に意味の深いことを言う時のほかは、一言も口をきかないことにしている位だ。その代り、こちらからも、よほど立派なことを言わないと、相手にはしてくれないんだ。』
『これは驚いた!』とパーシウスは叫びました、『僕なんぞはうっかり口をきけませんね。』
『本当に彼女は、実に何でも出来る人なんだ、』とクイックシルヴァはつづけて言いました、『そしてどんな技芸にも学問にも通じている。つまり彼女は、あまり馬鹿馬鹿しくかしこいので、みんなが彼女のことを智恵の化身《けしん》だといってる位だ。しかし、実を云うと、少し元気がなさすぎるので、僕はどうも好きになれない。君だって彼女を、僕のように気持のいい旅の道連れだとは思わないだろうと思う。但し彼女にもいいところはある。そして君も、ゴーゴンと闘《たたか》うについては、そのおかげを蒙ることになるだろう。』
この時にはもうあたりはすっかり薄暗くなっていました。彼等は今や、蓬々《ぼうぼ
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