なかったらしいのです。だから、パーシウスが歩いて行くと、人々は彼にうしろ指をさしたり、口を曲げたり、互に目くばせをしたり、また思いきって出せるだけの声で彼を嘲弄したりしました。
『ほう、ほう!』と彼等は叫びました、『あいつはメヅサの蛇に見事《みごと》に咬まれてしまうぜ!』
 さてその頃には、三|疋《びき》のゴーゴンが棲んでいました。そして彼等は、世界始まって以来その時まで、その時から今日《こんにち》まで、なおその上この先何年たっても、ほかに見られそうもないような、この上もなく奇怪な、恐しい怪物でした。何獣といおうか、何のおばけといおうか、とにかくほとんど名のつけようもない代物《しろもの》でした。彼等三疋は姉妹であって、どこかちょっと人間の女に似たところもありましたが、本当は非常におそろしい、有害な竜の一種だったのです。全く以《もっ》て、これらの三疋がどんなに凄いものだったか、想像するのも困難な位です。だって、君達は嘘だというかも知れないが、彼等の頭にはそれぞれ、髪の毛の代りに、大きな蛇が百も生えていました。それもみんな生きていて、身をよじったり、のたくったり、くるくる巻きになったり、そ
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