した。『僕が百の頭をもった竜をこわがっているとでも思うのか!』
こうして彼等が話をしている折しも、いくつかの黒雲が巨人の腰のまわりに集まって来て、かみなりといなずまとの大変な嵐となり、あまりやかましくて、ハーキュリーズには、相手の言葉が一ことも聞き取れませんでした。ただ巨人のどれ位あるとも分らないような足が、暗い嵐の中に、にゅっと立っているのが見えるだけです。そして、もうもうとした雲に包まれた彼の全身が、時々、ちらっちらっと目に映《うつ》るのでした。彼はその間も、ほとんどしゃべりつづけているようでした。しかし彼の大きな、深い、荒っぽい声は、雷がごろごろと鳴る音と一しょになって、それと同じように、山の向うへ響いて行ってしまいました。こうして、むやみやたらにしゃべって、その馬鹿な巨人は、計り知れないほどの息を無駄に費しました。というのは、彼の言ってることは、全く雷の音と同じように、一向わけがわからなかったからです。
とうとう、嵐は来る時と同じように、突然晴れ上ってしまいました。そして、からりとした空や、うんざりしながらそれをさし上げている巨人や、それから気持のいい日の光が高い高い彼の上
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