放しました。すると、果して、その翼の生えた「わざわい」達はみんな外へ飛び出して行って、そこいら中の子供達をひどく苦しめ悩ましたので、その後幾日もの間、彼等の誰もが、にこりともしなかったほどでした。それから、大変不思議なことには、これまでどれ一つ凋《しぼ》んだことのなかった草花や露を帯びた花までが、今度は一日二日たつと、だらりとなって、花びらが散りはじめました。その上、今までは、いつまでも小さいままでいそうに思われた子供達が、今度は一日々々と年を取って、まもなく青年や年頃の娘になり、やがては大人になり、そんなことは夢にも思わないうちに、じいさん、ばあさんになってしまいました。
さて、仕方のないパンドーラと、それに負けないくらいのエピミーシウスとは、家の中にじっとしていました。彼等は二人ともひどく刺されて、大変痛かったのですが、それが世界始まって以来感じられた最初の痛さであっただけに、彼等には一層|耐《た》え難く思われました。いうまでもなく、彼等は苦痛にはまるで慣《な》れていなかったので、それが何のことやら、わけが分りませんでした。そこへもって来て、彼等は二人とも、自分自身に対して、それ
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