といういいお天気でしょう! もしも彼女が、そんな面倒くさい結び目なんぞうっちゃっておいて、その箱のことなんかもう考えないことにして、彼女の小さな遊び友達のところへ飛んで行って、仲間になって面白く遊んでいたら、その方が利口じゃなかったでしょうか?
 しかし、その間もずうっと、彼女の指は半分無意識に、しきりとその結び目をいじっていました。そしてふと、この不思議な箱の蓋についた、花の冠をかぶった顔が目についた時、彼女はそれがずるそうに、彼女にむかって歯をむき出して笑っているのを見たような気がしました。
『あの顔はいじわるそうだこと、』と彼女は思いました。『もしかあたしが悪いことをしてるから笑ってるんじゃないかしら! あたしほんとにもう、逃げ出したくなっちゃった!』
 しかしちょうどその時、ほんのちょっとしたはずみで、彼女はその結び目をひねるようにしましたが、それが思いもかけぬ結果になりました。金の紐は、まるで魔法をかけたように、ひとりでほどけてしまって、箱は締物《しめもの》なしになってしまいました。
『こんな変なことって知らないわ!』パンドーラは言いました。『エピミーシウスは何というでしょう
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