っているうちは、彼が今までにやったこと位では、こんなにほめてもらう値打があるとは思えませんでした。
『娘さん達、』彼等が息を入れるために休んだ時、彼は言いました、『あなた方が僕の名前を知ったからには、ヘスペリディーズの庭へはどう行っていいのか、僕に教えてくれませんか?』
『ああ、そんなにお急ぎにならないといけないんですか?』と彼等は叫びました。『あなた――そんなに沢山すばらしいことを仕遂げ、そんなに骨の折れる月日を送っていらしって――少しはこの静かな川の縁でお休みになる気にもなれないんでしょうか?』
ハーキュリーズは頭をふりました。
『僕はもう出かけなくてはなりません、』と彼は言いました。
『それじゃ、あたし達出来るだけくわしくお教えしましょう、』と娘達は答えました。『あなたは海岸へ出て、「老人《オウルド・ワン》」を見つけて、金の林檎のありかを無理にも言わせなければなりません。』
『「老人《オウルド・ワン》」ですって!』とハーキュリーズは繰り返して、そのおかしな名前を笑いました。
『そして、一体その「老人《オウルド・ワン》」というのは誰なんです?』
『あーら、あの「海の老人」にきまってるじゃありませんか!』と娘の一人が答えました。『彼には五十人も娘があって、その娘達は大変美人だといってる人もあります。しかしあたし達は、その娘と知合いになることはよくないと思っています。なぜって、その人達は、海のように青い髪の毛をして、からだがおさかなみたいにすぼまっているんですもの。とにかく、あなたはこの「海の老人」と話をしなくてはなりません。彼は船乗り稼業《かぎょう》をしていて、ヘスペリディーズの庭のことは、なんでも知っています。というのは、その庭は、彼がいつも出かけて行く島にあるのですから。』
そこでハーキュリーズは、どの辺へ行けば、一番その「老人《オウルド・ワン》」に会えそうかと訊きました。そして娘達がそれを教えてくれた時、彼はパンや葡萄を御馳走になったことや、美しい花をかぶらせてもらったことや、歌や踊りでほめてもらったことなど、一々礼を述べ、とりわけ、本当の道を教えてくれたことに対して娘達に感謝して、すぐに旅に出ました。
しかし、彼がまだ声が届かないほど遠くへ行かないうちに、娘の一人が、うしろから彼に呼びかけました。
『「老人《オウルド・ワン》」に出会ったら、彼をぎゅっ
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