て、僕たちの推理的探偵問題に持っていた君の興味が、全然なくなっちまわないとなお結構なんだけれどね……」
「ところがその反対なんだよ」
 と、私は答えた。
「つい昨夜、僕は古いノートを引っぱり出して調べて、やって来た仕事を分類したばかりなんだよ」
「今までを最後にして、君の蒐集を分類してもう仕事を止めちまおうと思ったわけじゃないんだろうね」
「全然そうじゃないさ。それどころか、もっといろいろな経験を積みたいと思ってるくらいだもの。僕にはそれ以上に望ましいことは何もないよ」
「じゃ、きょうからでも、すぐ仕事にかかってくれるかい?」
「やるとも。きょうからでも、君が必要だと云うなら……」
「遠くってもいいかい? バーミングハムなんだ」
「いいとも。君がそこへ行けと云うなら」
「けれども商売のほうはどうする?」
「隣の家に住んでる男がどこかへ出かける時はいつも僕が留守を預かってやっていたから、その代り僕が留守をする時は、その男が代りをしてくれることになってるんだ」
「ハハア、そりア至極好都合だ」
 とホームズは椅子にかけたまま後ろにそり反《かえ》って、細めた目で私を鋭く見つめながら云った。

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