た。
「一体これはどうしたと云うんだ」
と、彼は叫んだ。
「その訳を申し上げましょう」
と、ツンとすまして、こわばった表情をして、エフィは部屋の中に忍び込んで来ながらさけんだ。
「しゃべるまいと思っていたのに、とうとう話させられる様なことに、なってしまいました。けれど今こそ、私達は最善の方法でそれを解決しなければなりません。――私の夫はアトランタで死んだのです。そして私の子供は生きながらえました」
「お前の子供!」
彼女は彼女の懐から小さな箱を引き出した。
「あなたはこの箱を開けて御《ご》らんになったことはありませんね」
「それは開かないものだと思っていたよ」
彼女はバネ[#「バネ」に傍点]を押して蓋を開けた。するとその中から……すばらしく上品な美しい、そして聡明[#「聡明」は底本では「聴明」]そうな男の肖像が出て来た。しかしその表情の中には、疑いもなくアフリカ人系統の容貌が現らわれていた。
「これがアトランタにいた、ジョン・ヘブロンです」
と彼女は云った。
「この人より上品な人はありません。私は彼と結婚するために、私の一族と義絶しました。でも彼が生きている間は、一瞬間でもそ
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