を企《たく》らんでいるのを見ていたからであるが。そういう次第で、医師が彼に答えたのはかなり素気なかった。
「酔っ払っているか譫語《うわごと》を言っているかだ。」と先生が言った。
「仰しゃる通りでごぜえますよ。」とシルヴァーが答えた。「そして、どっちだってちっとも構やしません、あんたにもわっしにも。」
「お前は自分を慈悲深い人間だと言ってくれとは言うまいな。」と先生は冷笑しながら答えた。
「で、私の気持を聞いたらお前は驚くかも知れんよ、シルヴァー君。だがもし彼等が確かに譫語を言っているものとわかればだ、――あの中の少くとも一人が熱病に罹っていることはまず確かなんだからな、――私はこの野営地から出て行って、自分の体にはどんな危険を冒そうとも、自分の医術の助けをあの連中に藉《か》してやらねばならん。」
「失礼ですが、あんた、そりゃあいけませんよ。」とシルヴァーは言った。「あんたの御大切《ごてえせつ》な命がなくなりますからね。違えありませんぜ。あっしは今じゃすっかりあんたの側についてるんでさ。だから味方の人を減らせたかぁありません。あんたはもちろんのことです。あんたにゃ御恩を受けていますからね
前へ 次へ
全412ページ中390ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
スティーブンソン ロバート・ルイス の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング