そこにいる者が一人も身動きもしないで、みんなが羊のようにただ私を見つめて坐っていたからである。そして彼等がまだじっと見つめている間に、私は再び口を切った。――
「それからね、シルヴァーさん、あんたはここにいる中で一番偉い人だと思うが、もし僕が殺されるようなことになったなら、あんたはどうか先生に僕の死に方を知らせてあげて下さい。」
「心に留めておこう。」とシルヴァーは言ったが、非常に奇妙な口調だったので、彼が私の頼みを嘲笑《あざわら》っているのか、それとも私の勇気に感心していたのか、私にはどうしてもいずれとも判断しかねた。
「まだ一つ言い添えることがある。」と例のマホガニー色の顔をした年寄の船乗――モーガンという名の――私がブリストルの埠頭にあったのっぽのジョンの居酒屋で見たことのあるあの男――が叫んだ。「黒犬《ブラック・ドッグ》を知ってたのもこいつだったぞ。」
「そうさ、それからな、」と船の料理番《コック》は言い足した。「もう一つ言い添えることもあるぜ、畜生! ビリー・ボーンズから海図をかっぱらったのもやっぱりこの子供だったよ。たびたび己たちはこのジム・ホーキンズのためにしくじったんだ
前へ 次へ
全412ページ中314ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
スティーブンソン ロバート・ルイス の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング