なことは人間の性質としてはないことだよ。その男がほしがっていると君の言ったのはチーズだったかね?」
「ええ、チーズです。」と私は答えた。
「じゃあ、ジム、」と彼は言った。「食物にやかましいとどんないいことになるか見て御覧。君は私の嗅煙草《かぎたばこ》入れを見たことがあるだろうね? で君は私が嗅煙草を取り出すのは一度も見たことがないだろう。その訳はこうだ、あの嗅煙草入れの中にはパルマ・チーズ(註六四)が入れてあるのさ、――イタリーで出来たチーズで、すこぶる滋養のある奴だ。そこで、あれをベン・ガンにくれてやるとしよう!」
夕食を食べる前に私たちはトム爺さんを砂の中に埋葬して、帽子を脱いだまま風に吹かれて暫くの間その周りに立っていた。薪はずいぶんたくさん取って来てあったが、船長の気に入るほどではなかった。彼は頭を振って、私たちに「明日《あす》はもっと元気を出して取って来なくっちゃいけません。」と言った。それから、みんなが豚肉を食べ、一人一人がかなり強いブランディーを一杯ずつ飲んでしまうと、三人の頭株は一隅に集って、これから先のことを相談した。
三人はどうしたらいいか途方に暮れている様子だ
前へ
次へ
全412ページ中211ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
スティーブンソン ロバート・ルイス の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング