チの下に、例の小さな泉が、幾らか奇妙な性質の人工の溜池――というのは、船の大きな鉄釜の底を抜いて、船長の言葉で言えば「船荷を満載した時の水準線まで」砂の中に埋めたものなのであるが――の中へ湧き出ていた。
 小屋の骨組の他にはほとんど何も残されてはいなかった。が、一つの隅に、炉床の代りに敷いてある板石と、火を入れる古い銹びた鉄の籠とがあった。
 円い丘の傾斜面と柵壁の内側全部とは、この小屋を建てるために樹木をすっかり伐り払ってあった。その切株で見ると、ずいぶん立派な喬木の林が伐り倒されたことがわかった。土は大抵、その樹木を取除けた後に、雨に流しやられたり、風の吹き寄せた砂に埋められたりしていた。ただあの釜から流れ下っている小川のところだけでは、苔や、何かの羊歯《しだ》や、地を這っている小さな灌木などが、こんもり生い茂っていて、砂地の中にまだ緑色をしていた。柵壁のすぐ近くの周りに――防禦のためには近過ぎると皆は言ったが――森林がまだ高く密に繁っており、陸の側は皆樅だが、海の方は鮮色樫がよほどまじっていた。
 前に言ったあの寒い夕風は、この粗末な建物のありとあらゆる隙間からぴゅうぴゅう吹き込
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