4水準2−12−11]した。
「おい、お前ら、」と船長が言った。「私の言うことが聞えるか?」
水夫部屋からは何の返事もなかった。
「お前にだ、エーブラハム・グレー、――お前に私は口を利いているのだぞ。」
それでも答がない。
「グレー、」とスモレット氏は少し声高に再び言い始めた。「私はこの船を立退《たちの》くところだ。で、お前に船長について来いと命令する。お前が心底《しんそこ》は善人だということは私は知っている。また、恐らく、お前たちみんなの中の一人だって悪党ぶっているほどの悪党じゃあないのだ。私はここに時計を手に持っている。私のところへ来るのにお前に三十秒だけ余裕を与えてやる。」
しばらく間があった。
「さあ、お前、」と船長が言葉を続けた。「そんなに永くぐずぐずしていちゃいかん。私は一秒一秒自分の命もここにいられる方々《かたがた》の命も危険に曝《さら》しているのだ。」
突然格闘が始まり、打合いの音がしたかと思うと、片頬にナイフの傷を受けたエーブラハム・グレーが躍り出て来て、口笛で呼ばれた犬のように、船長のところへ走って来た。
「来ましたよ、船長。」と彼は言った。
そして次の瞬
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