くそういう評判を取ってるんだ。それにまた、たくさんの貧乏な水夫たちの持っていねえほどの金《かね》も持っている。それから胆っ玉もある、確かにな。それだのに、お前はあの馬鹿どもの仲間にひきこまれようって言うのかい? そんなお前じゃねえ! 己はそんなことをするくれえなら片手をなくしたっていい。それぁ神様が己を照覧していらっしゃるくれえ確かにだ。もし己が自分の義務に背いたら――」
と、その時突然、彼の言葉は或る叫び声で遮られた。私は実直な船員を一人見つけたのであったが、――さて、今、ちょうどそれと同時に、もう一人の実直な船員の知らせがわかって来たのである。沼のずっと遠くで、突然、怒った叫び声のような音声が起ったかと思うと、それに続いて別の声がし、それから恐しい長く引いた悲鳴が一声聞えた。遠眼鏡山の岩は幾度となくその悲鳴を反響した。沼の鳥の群はことごとく一斉にぶうんと羽音を立てて再び飛び立ち、天を暗くした。そして、永い間その死のをめき声がなおも私の頭の中で鳴り響いていた後に、ようやく寂寞が再びあたりを領し、ただ、また降りて来る鳥のさわさわという羽音と、遠くの大浪のどどうっと響いて来る音とが、午
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