てだったに違いない、と思わずにはいられなかった。
ディックはほんのしばらくの間行っていたが、彼のいない間イズレールは料理番にずっと囁き続けていた。私の聞き取れたのはほんの一二語に過ぎなかったけれども、それでも私は重大な消息を知った。というのは、他にも同じような意味のきれぎれの文句の他に、こういう文句全体が聞えたからである。「あいつらはもう一人もこっちへつくめえよ。」とすると、船中にはまだ忠実な船員もいる訳であった。
ディックが戻って来ると、三人は順々に小皿を取って飲んだ。――一人は「運がいいように。」と言って飲み、もう一人は「フリントのために祝杯を。」と言って飲み、シルヴァーは歌のような調子で「己たちのために祝杯を挙げる。しっかりやるんだ。そうすりゃ獲物はどっさり、御馳走もどっさりだ。」と言って飲んだ。
ちょうどその時、樽の中にいる私に何だか明るい光がぱっと射《さ》して来た。見上げると、月が昇っていて、後檣《ミズンマスト》の頂を銀色にし、前檣帆《フォースル》の前縁に白く輝いているのだった。そして、それとほとんど同時に、見張りの者の声が「陸が見えるぞう!」と叫んだ。
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