逃げたとすると、我々はこの自殺を発表してもよいだろうか? うむ、我々は慎重にならねばならん。うっかりすると、おまえの御主人を何か恐ろしい災難の中へ巻き込むようなことになるかも知れないぞ。」
「どうしてそれをお読みにならないんですか、旦那さま?」とプールが尋ねた。
「恐ろしいからだ、」と弁護士は重々しい口調で答えた。「どうか恐ろしがる理由なぞがありませんように!」そう言うと彼はその手紙を眼のところへ持って行って、次のように読んだ。――
[#ここから1字下げ]
「親愛なるアッタスン。――この手紙が君の手に入る時には私は失踪しているでしょう。どういう事情によってかは私には予想することはできないが、しかし、私の直覚と、私の言い表わしようのない境遇のすべての事情とは、もう終りが確実で、しかも間近いということを私に告げるのです。その時には、行って、先ずラニョンが君の手に渡すと私に予告していた手記を読んでいただきたい。そして、もし君がもっとよく知りたいと思うならば、私の告白を読んで下さい。
[#ここで字下げ終わり]
[#地から9字上げ]君の価値なき不幸なる友、
[#地から2字上げ]ヘンリー・ジーキ
前へ
次へ
全152ページ中91ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
スティーブンソン ロバート・ルイス の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング