は斧を肩の上にふり上げた。打ち下ろすと建物がゆれ動き、赤い粗羅紗を張ったドアは錠と蝶番とに当って跳ね返った。まるで動物的な恐ろしい叫び声が書斎から響きわたった。斧が再びふり上げられ、再び鏡板ががあんと音を立て枠板が跳ね返った。こうして四度打ち下ろされたが、木は堅かったし、取付けの器具は丈夫に出来ていた。それで五度目になってやっと、錠がばらばらに打ち砕け、ドアの壊れたのが内側の絨毯の上に倒れた。
 攻めかかった二人は、自分たちのやった乱暴と、その後の静けさとにぞっとして、ちょっと後へ下って覗きこんだ。彼らの眼の前には、静かなランプの光に照らされた書斎があった。暖炉には気持のよい火がぱちぱち音を立てて真っ赤に燃えていた。湯沸しは低い調子で歌を歌っていた。ひきだしが一つ二つ開いていたし、事務用のテーブルの上には書類がきちんと並べてあった。炉の近くには、茶道具があって茶を入れる用意がされていた。もしこの室に、薬品の一杯入っていた硝子張りの戸棚さえなかったなら、その夜ロンドン中でも一番静かな室とも、また一番平凡な室とも言えたろう。
 室のちょうど真ん中に、ひどく※[#「てへん+丑」、第4水準2−
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