と、永いあいだ勝手気ままにされていて、つい近ごろになって鎖で繋がれてしまった、私の下等な方面が、自由をもとめて唸りはじめた。と言っても、私がハイドを復活させようなどと夢にも思ったのではない。そんなことは思っただけでも私は気がふれるほど驚いたであろう。いや、私がもう一度自分の良心を弄ぶように誘惑されたのは、私自身のそのままの体でであった。私がとうとう誘惑の攻撃に負けてしまったのは、ありきたりの密かな罪人《つみびと》としてであったのだ。
すべてのものには終りがくる。どんなに大きな桝目でも遂には一ぱいになる。そして、私が自分の悪い心にちょっとの間でも従ったことは、とうとう私の心の平衡を破ってしまったのである。それでも私はそれに気がつかなかった。その堕落は、私が、私の発見をまだしなかった昔へ返るようにきわめて自然なことに思われた。美しく晴れた一月のある日のことであった。足の下は霜がとけていて湿っていたが、空には一片の雲もなかった。リージェント公園では冬の鳥の囀りがいたるところにきこえ、春の匂いが甘くただよっていた。私は日向《ひなた》でベンチに腰をかけていた。私のうちの獣性は過去の歓楽を思い出
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