に対して愕然とすることがあった。しかし、こういう立場は普通の法則からは離れていたので、うまく良心の手を弛めていた。罪のあるのは、要するに、ハイドであり、ハイドだけであった。ジーキルは少しも変りがなかった。彼が目覚めれば、見たところ少しも損われていない元の善良な性質に返るのであった。彼は、それができる場合には、ハイドのした悪事を急いで償おうとさえした。こうして彼の良心は眠っていたのであった。
 私がこんな風にして見過ごしにしていた悪行(というのは今でも私は自分でそれを行なったとは認めがたいからであるが)については、くわしく記すつもりはない。私はただ懲罰が自分に近づいてきた前知らせと、それが一歩一歩せまってきた順序とを指摘するだけに止めるつもりである。私は一つの事件に出会ったがそれは何も大したことにもならなかったからちょっと書いておくだけにしよう。ある子供に対する私の残酷な行為が一人の通行人をひどく憤らせた。その人が君の親戚の人であることを私は先日知ったのだが。医者とその子供の家族とがその人に加わったので一時は自分の生命も危険ではないかと心配した。そして結局、彼らの極めて当然な憤慨をなだめ
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