《スクエア》の私の家では思い通りに勝手なことをしてもよいのだということを知らせた。そして、間違いをさけるために、自分の第二の人格になって、訪問までして自分を彼らによく見せておいた。つぎに私は君があれほど反対したあの遺言書を作った。これは、もしジーキル博士としての自分に何事が起こっても、私が金銭上の損失をうけずにエドワード・ハイドの身になれるようにするためであった。そして、このようにあらゆる方面で用心堅固にしたつもりで、私は自分の立場のその奇妙な免疫性を利用しにかかったのである。
暴漢を雇ってそれに自分の罪悪を行なわせ、自分の身体や名声は安全にかばった人たちがこれまでにはあった。ところが、自分の遊楽のためにそんなことをしたのはこれまでには私が初めてであったのだ。快い名望の重荷を負うて、社会の中でこんなにせっせと働きながら、たちまち小学生のように、そんな借り物を脱ぎすてて、自由の海へまっさかさまに跳びこむことのできたのは、私が初めてであったのだ。しかも私は、あの見通しのできないマントを着ているので、その安全は完全なものであった。そのことを考えてみ給え、――私という人間は存在しもしないのだ
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