》があつて、鷺《さぎ》ではない、老爺《ぢい》の姿《すがた》が、木彫《きぼり》に成《な》つて立《た》つのを見《み》て、渠《かれ》は蘆間《あしま》に手《て》を支《つか》えて、やがて天守《てんしゆ》を拝《はい》した。
 船《ふね》に乗《の》れば、すら/\と漕《こ》いで出《で》て、焼《や》けない処《どころ》か、もとの位置《ゐち》へすつと戻《もど》る……伝《つた》へ聞《き》く諾亜《ノア》の船《ふね》の如《ごと》きものであらう。



底本:「新編 泉 鏡花集 第八巻」岩波書店
   2004(平成16)年1月7日第1刷発行
底本の親本:「神鑿」文泉堂書房
   1909(明治42)年9月16日
初出:「神鑿」文泉堂書房
   1909(明治42)年9月16日
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
※「をんせん/おんせん」「城趾/城址」「魚《うを》/魚《いを》」「水底《みずそこ》/水底《みづそこ》」「灰《はひ》/灰《はい》」「鎗《やり》ヶ|嶽《だけ》/槍《やり》ヶ|嶽《だけ》」「烏帽子《えばうし》/烏帽子《えぼうし》」の混在は底本の通りです。
入力:砂場清隆
校正:門田裕志
2007年8月12日作成
青空文庫作成ファイル:
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